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猫耳

黒澤潤 猫耳
日時:2022年12月17日(土)
Open 18:30 Start 19:00 ¥2,000(1 drink付)
会場:Center / Alternative Space and Hostel
栃木県鹿沼市銀座1丁目1273番地

栃木県・鹿沼の多目的スペースにて、孤高の実験映画作家として知られる黒澤潤の代表的な長編第一作、『猫耳』(1994)を上映。現存していた上映用のプリント(16ミリフィルム)を、新たに2Kデジタル化したものを世界で初公開し、上映後には監督自身による短いトークを行った。

■作品概要
4人の若者がゲームのような生活をしている。彼らの時間には過去も未来もなく、終わりのない日常を反復している。
ある日、一人の女性の出現によって、彼らの自己完結した生活に歪みが生じてくる…。サミュエル・ベケット『ゲームの終わり』の引用から始まる不条理な世界、燃焼するフィルム、肉体の遊戯、鳴り響くハーシュノイズ…。1993年にロッテルダム映画祭で初めて公開された本作は、翌年に恵比寿EAST GALLERYにおいて「完璧な病室」と銘打ち行われたイベントで、実験映画の上映会としては異例の動員数を達成し、同時期に『キネマ旬報』や『イメージフォーラム』、『Fs(エフズ)』といった数々の映画雑誌でも特集されるなど、多数の反響を呼び起こしました。物質に対するフェティシズムとサディスティックな美しさが同調した本作は、フィルムというメディアに拘って作品を手掛けていた黒澤潤の一つの集大成とも呼べる作品であり、観る人に「“映画”あるいは“映画的言語”とは何か」という根源的な問いを想起させる。


猫耳
(1994, 16mm, color, 80min)
脚本:黒澤潤、山口敦
出演:美加理、薔薇絵、
上杉貢代、山内理絵、今野博之
製作:T.T.PARTY(秋田敬明、福島輝彦)


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1993年 ロッテルダム国際映画祭(オランダ)
1994年 ペテルブルグ国際映画祭(ロシア)
1995年 フランドル国際映画祭(ベルギー)
1995年 サレルノ国際映画祭(イタリア)
1995年 ダンケルク国際映画祭(フランス)
1995年 エジンバラ国際映画祭(イギリス)
1996年 シカゴ・アンダーグラウンド映画祭(アメリカ)



■黒澤潤 / Kurosawa Jun
1964年生、多摩美術大学美術学部芸術学科卒。大学時代、同期と結成したインディーズ・バンドで数年に渡る活動をした後、萩原朔美に師事し、映画制作を始める。初期においては「光や物体(あるいはフィルムそのもの)をフレーム単位の編集によって操作する構造的なスタイル」の作品を多数制作、やがて作品は物語性を取り入れ始め、「肉体的エロス」や「タナトス」といった要素を通じて、より自身の内面的世界の分析へと移行して行く。大学卒業後は福嶋輝彦・秋田敬明らによるアートプロデュースユニット<T.T.PARTY>との協働によって、現代美術の方面にも携わりつつ、1994年に恵比寿のイーストギャラリーで行った『猫耳』(1994)のプレミア上映では記録的な動員を達成。
また、国内のノイズシーンとの関わりも深く、自身がノイズミュージシャンとして活動する傍ら、メルツバウを追ったドキュメンタリー『ビヨンド・ウルトラ・ヴァイオレンス』(イワン・ケルコフ、1998)ではコーディネイトを担当する。その他にも、パフォーマンスユニットとのコラボレーションや、映像オペラ『サテュリコン』(2004)を手掛けるなど、常に越境した映像表現を探求する。代表作に『now-here』(1988)、『東京天使病院』(1989)、『スピノザのレンズ』(1989)、『片足の神様』(1991-1994)など。






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